相談者の職業は整備士でした。採用時に取り交わした契約書に記載の労働時間は8時間+休憩1時間となっていました。ところが、赴任した営業所の営業時間は10時間だったため、9時間労働が必要になっていました。さらに、営業開始前から朝礼があっただけでなく、営業時間後に業務を行うこともあり、実際の労働時間が9時間を超える日が多くなっていました。そのような実態について、本社からは「現場で労働時間を調整するように」との連絡があっただけで、手当てもなく超過勤務を事実上強制されていました。
相談者の職業は整備士でした。採用時に取り交わした契約書に記載の労働時間は8時間+休憩1時間となっていました。ところが、赴任した営業所の営業時間は10時間だったため、9時間労働が必要になっていました。さらに、営業開始前から朝礼があっただけでなく、営業時間後に業務を行うこともあり、実際の労働時間が9時間を超える日が多くなっていました。そのような実態について、本社からは「現場で労働時間を調整するように」との連絡があっただけで、手当てもなく超過勤務を事実上強制されていました。
相談者は、退職後に当事務所以外の行政書士に相談していました。行政書士が行っていた、残業代未払いについての内容証明発送のサービスを利用し、相談者本人が請求書を元勤務先へ送付していたようです。これに対して元勤務先は、代理人弁護士をつけたうえで、相談者に対して「残業の指示があった場合には残業代を支払うので、裏付け資料を送って欲しい」といった内容の書面を送ってきました。相談者は相手方の対応に困り果て、当事務所にお越しになりました。
営業時間や業務量から残業が不可避となるような場合は、「暗黙の指示」があったとして、残業代の支払い義務が生じる場合があります。ただし、これについては雇用者側から「残業禁止命令」や「残業許可制」などの有無について検討する必要があります。
未払い残業代の請求については、弁護士だけでなく、司法書士や行政書士に相談することも可能です。しかし、行政書士に依頼できるのは「書類作成」のみで、相手方との交渉を依頼することができません。また、司法書士は「140万円」を超える未払残業代については、相手方との交渉を依頼することができません。弁護士にはそのようなデメリットがありませんので、最初から弁護士に相談されるほうが良い場合があります。
今回のケースでは、所属長からの明確な指示はなかったようですが、営業時間や業務量から、超過勤務が必要となるのは明らかであるにも関わらず、それに対する手立ても打たずに黙認していたことから「暗黙の指示」があったものと判断し、交渉に臨みました。
なお、最初に相談した行政書士が作成した請求書において、残業代の請求期間に1ヶ月分の漏れがありました。相談者ご本人からの聞き取りや、追加で収集した資料に基づいて残業代を再計算し、相手方へ請求しました。
残業代請求の権利の消滅時効は2年です。単純なミスによって不利益を被ることがないよう、労働法などの関係法令に詳しい弁護士に依頼するのがベストです。
当事務所で未払い残業代に関する具体的根拠を示す資料を添え、残業代の再計算による請求を行ったところ、相手方の態度が軟化し、解決金の支払いの提案を受けることができました。受任より3か月での早期の示談解決を行うことができました。
※2020年4月以降は時効期間が3年になりました。
残業代が請求できるかどうかのポイントについて詳しく解説しています。