相談者は社員数40人ほどの印刷会社の営業社員でした。中途採用で入社し、採用時に年俸制であること、および年俸には残業代も含めた諸手当も含まれていることを告げられました。入ってみると想像以上に仕事量が多く、印刷業界の常で定時内には終われないことから、残業時間も月平均で60〜70時間はありました。
相談者は社員数40人ほどの印刷会社の営業社員でした。中途採用で入社し、採用時に年俸制であること、および年俸には残業代も含めた諸手当も含まれていることを告げられました。入ってみると想像以上に仕事量が多く、印刷業界の常で定時内には終われないことから、残業時間も月平均で60〜70時間はありました。
「年俸制には残業代という概念は存在しない。」と入社の時点で、年俸には残業代も含めた諸手当が含まれていることを説明し、同意も得ていると主張。
経営者が年俸制というものを誤解しているケースでした。年俸制を採用したからといって、残業代の支払い義務はなくなりません。給与の計算方法にも問題のあることがわかりました。
年俸制でも、月給制と同じく、基本給と割増賃金(残業代部分)とを明確に区別しておく必要があります。
この会社の給与明細には基本給の項目があるだけで、割増賃金に関する金額明記がありませんでした。これでは残業代に相当する対価が支払われたことにはなりません。まして、諸手当まで基本給に含むなどというあいまいな給与体系は、法的に無効としか言いようがなく、この点を指摘しました。
労働審判に持ち込まれましたが、私たちの主張が通り、この会社の給与制度は無効とされて、年俸とは別に残業代が支払われることになりました。
※2020年4月以降は時効期間が3年になりました。
残業代が請求できるかどうかのポイントについて詳しく解説しています。